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【Tachibana Cyber Laboratories】橘サイバー研究室

vol.39コンクリートが瞬間的な過荷重をサイクリックに受けるとき耐えられる回数

2016年8月23日

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大発見だ! 奇数は素数だ!
えー?
だって1、3、5、7 は奇数だけど・・ね、他の数では割れない、つまり素数でしょう。
この大発見も、次の9では3で割れて、あっけなく覆される。

実験でも、わずかなケースの結果から、大風呂敷を広げた結論を言うと後で大恥をかく。そのことは誰しも心得ている。非常に謙虚な結論の後に「今後、更なる検討を続ける予定である」などと書き添えたりする[1]。

以下の話は果たして1、3、5、7の口かどうか?眉にツバをつけたうえでお読みのほどを。

  • [写真-1]コンクリートの繰返し載荷で壊れた瞬間画像拡大

    [写真-1] コンクリートの繰返し載荷で壊れた瞬間

まず、はじめに写真-1を見ていただきたい。コンクリート試験体に繰り返し載荷をしたときに壊れた瞬間の写真である。これについては既にこのコラムでも触れている(Vol.15 疲労破壊のシミュレーション 2009.9.24付け)。この瞬間をシミュレーションで捕らえようとしたものだった。

この実験で不思議だったのは、この寸前までの繰り返しにおいて表面は一見何事もなかったような顔つきをしていたことだ。一体、内部で何が進行していたのかは分からない。

この稿の魂胆は、この簡単な実験結果から、コンクリートが圧縮で破壊するまでの繰返し回数を予測しようという虫の良い話である[2]。

この実験をもう少しだけ詳しく述べよう[3]。
コンクリートの試験体の形状は、直径10cm、高さ20cmのシリンダー状で、載荷は油圧サーボ式疲労試験機を用いている[4]。動的繰り返し荷重は、漸増振幅域をもつ3角波とし、定常域において4Hz、40Cycle(10秒間)とした。これらについては何ら確たる根拠はない。あえていうなら正弦波などよりも少しとげとげしい3角波を選び、4Hzは、1次固有周期がそのくらいの鉄筋コンクリート造(RC造)建物を想定している。上下動や梁のせん断や筋違の軸力変動などに伴って生じる柱軸力の変動などをぼんやりとイメージしている。直下型地震なら柱は最初の10秒間ぐらいが運命の分かれ目だろう。

小さなコンクリートの試験体の実験において、このようにざーっと見込んで、エイヤッと上記の条件を設定した。もしそこまで想定するなら鉄筋の主筋やフープ筋はどうする。地震波が定常な3角波とは一体何を考えているのだ。恐らくこうした非難を受けるに違いない。話が「ざーっと」とか「エイヤッ」とか、荒っぽい様相を呈してきているが、かまわずに話を続ける。
疲労試験機を用いての繰り返し載荷を行うにあたり、次に必要なのは変動荷重の上限値と下限値をどう設定するかという問題である。

一つの目安として、事前に、静的載荷装置を用いて5体の試験体に対する圧縮試験を行い静的強度 Fc = 289kgf/cm2 (約29N/mm2) を平均値として得ている[5]。その Fc を基にして3角波の上限値を27.5tonf(約1.2Fc相当)に再びエイヤッと設定した。なぜ上限値を静的強度 Fc より2割も大きめに設定したかについては、装置の借用期限があるので、ともかく数十回程度の繰返しで破壊してもらわなくては困る。そして載荷速度が速くなるとコンクリート強度は上昇する[6]、との理由による。下限値はスッキリと 5tonf(約0.22Fcに相当)とした。5体の結果を図-1に示す。

図-1では少し判別しにくいので、その2段目だけの拡大図を図-2に示す。この(a)図において上下に大きく振れている薄い線が荷重の時刻歴を示している。

まず左の原点付近から直線的に右上がりに変動荷重の中心まで達する。次に漸増振幅域を経て定常域に達して繰り返し載荷が始まる。何度か繰り返してのち(この図の場合は起動後7秒を過ぎたあたり)で記録が止まっている。次に図-2(a)の濃い線を見ていただきたい。この線は載荷面の鉛直変位の時刻歴を示している(目盛りは右側で、上向きに収縮量)。荷重変動に応じて収縮を繰り返し、7秒を過ぎたあたりで0.1、2秒の間に収縮を表わす線が上に振りきれ計測がストップして0に戻っている。瞬間的な破壊現象なので以降これを脆性的破壊と呼ぶことにしよう。(単純に脆性破壊と呼ぶのは何かひっかかる。)

目を元に戻し、図-1で共通しているのは、定常域に達してから5秒以内に5体とも脆性的破壊をしていることである。いずれも写真-1のような状況であった。

写真-2(a)は見なれた静的載荷による圧縮破壊の進行状況である。しかし、もし積載荷重などを想定しているならば、これは破壊の偽りの?姿であるといってもよい。というのも、静的載荷の場合、試験体は最大荷重に達したのちに亀裂が増えはじめると間もなく荷重を示す針は下がり出す(逆回転し始める)。それは載荷板の急な動き(ヘッドスピード)に油を送くるスピードが追いつかず油圧が低下することによる。

しかし、実際の積載荷重の場合、壊れ出したら荷重が下がってくれるだろうか?

写真-2(b)は疲労試験機(サーボ機構付き)によるものである。この場合は試験体が壊れようが壊れまいが設定された圧力を忠実に実現しようと死にもの狂いで?油を送る。したがって、もし亀裂の進展などで内部にいくつかのマクロなブロックが形成され(ここのところは怪しげ)、試験体の耐力が急速に低下したとする。その場合は荷重と釣り合わなくなり慣性力や摩擦力で補完されなければならない。そうでないとニュートンが目を3角にして怒ってくる。注釈[3]の文献ではこのときのヘッドスピードを約5Gと概算している。しかし、これが実際の圧縮材の破壊に近いかというと、そうでもない[7]。

次からいよいよ本稿の山場にさしかかる。眉ツバをお忘れなく。

図-2(a)の濃い線を見ていただきたい。載荷面の鉛直変位の時刻歴であるが、定常域で僅かながら鉛直変位(圧縮変位)のピーク値が少しずつ増加している。つまり繰り返しの度に少しずつ縮んでいる。そのことは図-2(b)の荷重−鉛直変位の関係をみればより分かりやすい。繰り返しの線がサイクルを描きながら徐々に右側へずれている。(その後、ゆっくりとした下降線を見て脆性的でない、などと勘違いしないよう。)
この「右側へのずれ」について、図-1をもう一度見ていただきたい。最初の1体を除き、4体は「ほぼ」同じだけの「右側へのずれ」が生じたのちに脆性的破壊をしている。そこで、次のような仮説をたててみた。

【仮説】
コンクリートの円柱試験体にピーク値が静的強度 Fc を超える4Hz程度の繰り返し荷重を与えたとする。圧縮応力が Fc を超えた段階で内部に微細な亀裂が発生しはじめるが、しかし、すぐに除荷されるので亀裂は十分進展しないまま残る。何度も繰り返すうちに微細な亀裂の分布が拡がり「亀裂が部分的に繋がるレベル」にまで進展すると力学的な安定性が損なわれ、脆性的破壊をおこす。

以上、非常にあいまいな表現であるが、ともかく図-1からひねりだした仮説である。
次に、この仮説を数式で表現してみよう。

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