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[解析事例] 新繊維配向アルゴリズム(iARD)のご紹介

長繊維配向の予測がより高速に、より高精度に

長繊維を含む繊維強化樹脂は、樹脂材料にガラス繊維や炭素繊維を加えることにより、重量を大きく変えず機械的特性や熱特性を改善できることから自動車をはじめ、一般消費財など、様々な業界で幅広く使用されています。樹脂流動時の繊維の配向(異方性)は機械特性に大きな影響を及ぼし、その挙動を予測する事は製品開発に重要となっていますが、樹脂流動シミュレーションソフトウェアを活用し、その特性を予測するには、高い精度を併せ持つソフトウェアが必要であり、業界では長くその登場を切望されていました。

ここでは、Moldex3Dの従来のアルゴリズム(ARD)の非効率性を補う新しいアルゴリズム「iARD」のご紹介をします。長繊維の繊維配向予測をより少ない入力情報で精度良く解析できるようになりました。このアルゴリズムは長繊維のみならず短繊維の解析にも優れています。

長繊維を含んだ繊維強化樹脂の特徴

長繊維を含む繊維強化樹脂は、重量を大きく変えず機械的特性や熱特性を改善できます。
下記は、グラスファイバーで強化された樹脂の繊維長と機械的特性の定性的な関係を示しています(図1)。繊維を長くすることで、強度や衝撃特性が飛躍的に増加することがわかります。

繊維長と複合材料特性の向上 図1. 繊維長と複合材料特性の向上
(出典: Plasticomp)

繊維を使った機械的特性の向上は、繊維配向に大きく左右されます。射出成形の充填プロセスによって繊維は部分的に配向することが知られており、これによって材料物性の異方性が生じます。繊維を含んだ製品の場合、製品に対して交差している場合より、製品に沿って配向している場合の方が機械特性が高くなるので、目的の材料強度を得るには繊維配向の制御が重要となります。また、ランダムな繊維配向を実現することによって、成形品の不均一な反りや収縮を防ぐことが可能になります。

以上のことから、射出成形部品の性能、金型や部品の設計、成形条件を決定するためには、繊維配向を正確に予測する事が重要であることがわかります。

繊維配向予測アルゴリズム

アルゴリズム ARD法 (Anisotropic Rotary Diffusion)

以前から、Folgar-Tucker Modelに基づいた ARD(Anisotropic Rotary Diffusion)法を使用することで、繊維配向を正確に予測できることが知られています。しかしながら、ARD法を用いるには5つのパラメータを各材料に対して決定する必要があり、その計算方法はけっして効率的とはいえません。

新アルゴリズム iARD法 (Improved Anisotropic Rotary Diffusion)

Moldex3D が新たに独自開発した iARD法は、パラメータを3つに削減し、RPR法(Retarding Principal Rate:繊維マトリクスの相互作用により回転を遅らせる比率)と組み合わせることで精度を高めています。この“iARDモデル”は、正確な繊維配向予測を高速な計算で提供することが可能です。また、本機能は、長繊維だけでなく短繊維の繊維配向も予測することができる特徴があります。

  • ※ iARD法は、2013年米国特許取得済み(U.S. Patent No. 8,571,828)です。

iARDの特徴

Moldex3D が新たに独自開発した iARD法の主な特徴は、下記の通りです。

  • ・少ないパラメータ設定(3項目)で解析が可能。
  • ・高速計算(4層の配向テンソル計算について最大50%の高速化を実現)。
  • ・流入時の繊維配向情報の入力が不要。
  • ・マトリクス成分や、繊維の柔軟性、流動場を考慮した長繊維の配向予測が可能。
  • ・板厚方向の繊維配向と弾性率分布の高精度な予測が可能。

詳細説明

具体的な繊維配向予測結果を基にiARDの精度についてご紹介します。
図2は、円盤形状のキャビティに対して中央部分にゲートを設定し、射出成形を行った際の特定位置の繊維配向を測定したデータです。横軸は板厚方向、縦軸はAの流動方向の繊維配向を示しています。壁面近傍(スキン層)で繊維の配向が強くなっている様子がわかります。

具体的には、図のMoldex3D iARD の結果(:赤線)は、実験結果(■)とよく一致していますが、他のモデル(---- 破線)は実験結果を再現できていません。

Moldex3Dの長繊維の配向予測結果 図2. Moldex3Dの長繊維の配向予測結果

まとめ

Moldex3Dの新しい繊維配向予測機能 “iARD” を用いることにより、繊維強化樹脂製品の品質制御の向上が可能になりました。最新版 Moldex3D R13では、繊維破断、繊維長分布などの新規機能が追加となり、更にスクリュー内部での破断の影響も考慮可能になりました。

参考資料

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